《67》「円形脱毛症」
Ｑ：こんにちは。１カ月ぐらい前に急に後頭部近くの直径３センチぐらいの範囲の頭髪が抜けてしまいました。皮膚科に行ったのですが 「放っておいても、また、そのうち生えてくるタイプなので心配しないでください」と言われました。でもこのままで数カ月から半年となると、丸刈りか、髪を長く伸ばして隠すしかなく、いずれの髪型も嫌なので何とか早く生えてくるようにしたくて、東洋医学でなんとかする方法はないだろうかと思い、参りました。
Ａ：そうでしたか。まず、その部位の状態を見せていただけますか。なるほど…。ここがかゆかったり、あるいは少し痛くはなかったでしょうか？ あと食欲や便通は、大丈夫でしょうか？ 睡眠は、ちゃんと取れていますか？
Ｑ：特に、かゆみや痛みはありませんでした。ただ、この１年前から、仕事場の部署が変わり、慣れないところで忙しくなってしまい、家に仕事を持って帰り片付けることも多く、寝る時間が少なくなっています。この半年は食欲が落ち、昼も夜も食べるのがおっくうなぐらいです。朝は寝ていたいだけで、朝食は抜いています。体重は半年で６キロぐらい減りました。
Ａ：それは大変ですね…。難しいかもしれませんが、夜はできれば10〜11時までに就寝し、朝早めに起きて仕事をするなどしてみてください。朝昼晩ちゃんと食事をとり、水を多めに飲んでください。脂肪類は必要なのですが、頻繁にとったり、一度に量が多くならないように注意してください。毛細血管が詰まりやすくなり、頭皮の新陳代謝に影響を与えます。
また、人の体を修復するため夜９時から深夜２時ごろまでの間に「成長ホルモン｣が分泌されます。その時間帯に「３時間熟睡」していると、疲労がかなりとれます。もちろん全体で７〜８時間は寝なければなりません。
ぜひ、この生活パターンに変え、鍼灸治療によってその「熟睡」の質を向上させると同時に、胃腸の働きを改善するようにしていきましょう。それによって、吸収から排泄までの新陳代謝が活性化され、身体全体が生命力を高め、結果、髪の毛の育成にもつながるわけです。
身体の全体を整える→自律神経、ホルモンバランスが改善→血流が良くなる→疾病が治癒
使っている針は、すべてディスポーザブルです。頭のところと、背中から軽く治療し、後で、上向いて、おなかや手足に少し施術していきましょう。
（治り方には個人差があります。早く効果の出始める方と、時間のかかる方とあるようです）
（この連載は2カ月に1回掲載）
浅井先生：1987年から中国に留学。日本で鍼灸師の資格を取得後、診療所の理学療法科や鍼灸院、接骨院勤務を経て、1999年より香港で「誠恩堂鍼灸院」を開業。2003年に特区政府が定めた全科漢方医（漢方、鍼灸）の第１回資格試験に合格した。
